お茶の有機栽培・農薬不使用・慣行栽培の違いとは?わかりやすく解説

お茶の栽培方法にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
近年では、健康や環境への配慮からオーガニック(有機)栽培 の食品を選ぶ人が増えていますが、農薬不使用との違いがわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事ではお茶の栽培方法の違いに加え、安心安全なお茶を選ぶポイントも紹介します。
体にいいお茶を楽しみたいと考える方はぜひご覧ください。
目次
お茶の栽培方法の主な種類

お茶の主な栽培方法として、有機栽培・農薬不使用・慣行栽培の3つがあります。
有機栽培(有機JAS茶)
有機栽培とは、堆肥などを使って土づくりを行い、化学合成肥料や農薬を使わない栽培方法です。
有機栽培茶、有機茶、オーガニック茶など複数の呼び方がありますが、これらはすべて「有機JAS規格」という法律のもとで認定機関の審査をクリアしたものを指します。
農薬不使用(特別栽培農産物)
農薬不使用(特別栽培農産物)は、農薬の使用を抑えた栽培方法です。農林水産省が定める化学合成農薬について、その使用回数や特定の成分量が基準を下回るもののみ、農薬不使用と表記することができます。
お茶の栽培期間中に農薬を全く使用しない場合は、商品の品質表示に「農薬:栽培期間中不使用」、一部の農薬を使用した場合は「節減対象農薬:栽培期間中不使用」と明記する決まりがあります。
慣行栽培
慣行栽培とは、従来から行われてきた農薬・化学肥料・農業機械などを使用する栽培方法です。大量生産を目的としており、害虫や除草を効率良く行える点が大きな特徴で、私たちが口にする野菜・果物・穀物などの多くは慣行栽培で作られています。ただ、慣行栽培だからといって農薬や肥料を無制限に使用していいわけではありません。農林水産省は慣行栽培における農薬・肥料の使用基準について作物ごとに基準を定め、許可された安全な農薬や肥料を使って栽培したもののみが市場に流通しています。
有機JAS認証とは

2001年4月の改正JAS法により、国内で販売する農産物や農産加工食品に「有機」「オーガニック」と表示するためには、有機JAS認証機関による認定を取得する義務が課せられました。以下では、環境にも人にもやさしい「有機JAS認証」について詳しく解説します。
有機JAS認証のマーク

出典:有機食品の検査認証制度(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
有機JASマークは太陽・雲・植物をイメージしており、農薬・化学肥料などの化学物質に頼らずに自然界の力で栽培された食品を表すマークです。有機JAS認証を取得した食品のパッケージなどに表示されており、「できるだけ安全なものを買いたい」と考える人にとってはわかりやすい目印であり、食品を選ぶ際の基準にもなっています。
有機JAS認証が消費者に与える安心感
有機JAS認証を取得すると、農薬や化学肥料を使用せずにお茶を栽培している証明ができます。栽培過程を直接見る機会の少ない消費者から見れば、本当に安全かどうかわからない食品は不安になるものです。第三者機関の審査・認定を受けている有機JASマークの商品は信頼性が高く、大きな安心感につながります。
有機栽培で使われる農薬とは
有機栽培で使われる農薬は、主に植物などの天然由来の成分が使われています。例えば、除虫菊から抽出した薬剤や家畜の堆肥を用いた肥料、害虫の天敵を用いた生物農薬、チャノキが病気になるのを防ぐ生石灰などがそれに当てはまります。化学農薬に比べて人・動物・植物にやさしく、土壌に残らないというメリットがあります。
安心・安全なお茶を選ぶための豆知識

健康な毎日を送るためには、できるだけ安心・安全なお茶を選びたいですよね。ここではお茶を購入する際に役立つ豆知識をご紹介します。
農薬不使用であっても「無農薬茶」と記載できない
「できれば農薬を使っていないお茶を飲みたい」と考える人は多いでしょう。しかし、現在の日本の法律では以下のような食品表示は禁止されています。
・無農薬
・減農薬
・無化学肥料
・減化学肥料
その背景には、「このお茶は無農薬栽培である」と認定できる認証機関制度や法律が整っていないという課題があります。肥料や農薬の使用回数が厳格に管理された安全なものを選びたい方は、「農薬不使用」や「有機栽培」といった表示のお茶を選ぶとよいでしょう。
健康リスクの少ない有機栽培・特別栽培農産物を選ぼう!
化学農薬や化学肥料は、小さなお子さんや妊娠中の方・高齢者の方といった体が弱い人への健康への影響はもちろん、土壌や水質汚染の原因にもなり得るものです。有機JAS認証では、厳格かつ安全なルールのもとで栽培されたお茶のみが認定されているため、環境にも人にもやさしいお茶を選びたい方は、ぜひ「有機栽培」または「特別栽培農産物」と記載されたものを選びましょう。
まとめ:栽培方法を理解して、自分に合うお茶を選ぼう

お茶の栽培方法には、有機栽培・農薬不使用・慣行栽培」の3つがあり、それぞれ異なる特徴があります。中でも有機栽培(有機JAS茶)と農薬不使用(特別栽培農産物)は、農薬の使用を制限した中でチャノキを育てており、高い安全性があります。
お茶を購入する際にはぜひ品質表示ラベルや認証マークにも注目して、茶畑に想いをはせてみてはいかがでしょうか。